鶴見市場駅からほど近い住宅街にある「横浜熊野神社」。実はこの神社、最初から現在の場所にあったわけではありません。では、なぜ神社をわざわざ移動させたのでしょうか?
理由はなんと、日本初の鉄道建設でした。
1872年(明治5年)、新橋~横浜間に日本で初めての鉄道が開業します。その線路を敷設する際、熊野神社の境内が予定地にかかってしまったため、現在の場所へ移されたと伝えられています。
しかも面白いのが、その移動方法。
社殿を一度解体して建て直したのではなく、社殿の下に丸太を敷き、大勢の人が綱で引っ張って移動させたと伝えられています。
つまり、
「日本初の鉄道を造る」
→「予定地に熊野神社がある」
→「それなら神社を動かそう」
→「丸太に載せて人力で移動」
という、現在ではなかなか想像できない方法だったのです。
そして、そのとき熊野神社を動かして造られた鉄道が、現在のJR東海道線・京浜東北線などが走る鉄道用地につながっていると考えると面白いものです。
現在の熊野神社を訪れても、周囲はすっかり住宅街。ここに日本初の鉄道建設と関係する歴史が隠れているとは、知らなければまず気付きません。
鉄道が神社を避けたのではなく、神社の方が鉄道に道を譲った。
鶴見市場には、日本の鉄道黎明期を物語る意外な歴史が残されていました。

創建は弘仁年間(810~824年)1200年の歴史ある神社を、日本初の鉄道を通すために動かした
